公正証書遺言

公正証書遺言とは


遺言の方法は公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言と3つありますが、公正証書遺言は最も確実な遺言方法です。
公正証書遺言は、原案を元に公証役場で公証人に作成してもらう遺言です。

公正証書遺言には下記のようなメリットがあります。

・遺言書の真正性が問題となることがない
・遺言書の効力に疑義が生じない
・家庭裁判所での遺言書の検認が必要ない
・法的不備で遺言が無効になる恐れがない
・公正証書遺言の原本は公証役場に保管されるので、紛失や改ざんの心配がない

 

また、公正証書遺言は日本公証人連合会の検索システムにより、全国の公証役場でも検索できます。公正証書遺言の閲覧又は謄本の請求は、遺言者の生前は遺言者本人に限られます。

公正証書遺言作成に必要な書類等

公正証書遺言作成に必要な書類は遺言内容や公証役場によって違いますが、主な書類等は下記とおりです。
●遺言者の印鑑登録証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
●固定資産税等課税証明書(毎年5月頃に市区役所、町役場から送付されるもの)
・・固定資産評価証明書又は名寄帳(固定資産課税台帳)でも可。
●戸籍謄本(全部事項証明書)
●土地・建物の登記簿謄本
●預貯金通帳または残高証明書
●有価証券の預り証のコピー(支店名、口座番号、証券番号の記載の有る面のコピー)
●生命保険解約返戻金証明書
●その他相続人でない方に財産を引き継がせる場合(この相手方を受遺者といいます)には受遺者の住民票又は運転免許証のコピー
●遺言執行者を指定する場合には遺言執行者の住民票又は運転免許証のコピー

公正証書遺言作成の準備

※遺言事項について考えておきたい事。
①誰に対してどの財産を承継させるのか又は承継させないのかを決める。

・・・例えば家と土地などの不動産は長男、現金は次男、株などの証券類は長女などと大まかな遺産の全体像をとらえ「こんなふうに分割したい」と決めておく。
この指定が曖昧だったり、的確でなかったりすると、遺言者の意図について解釈上の争いが生じ、裁判で争われたときに、遺言者の意図を確定できないとして遺言が無効と判断されることもあります。

②全ての財産(今後取得する可能性のある財産)について漏れなく承継させる者を定めているか確認する。
・・・漏れがあると、漏れている財産について遺産分割協議が必要になってしまいます。バスケット条項といわれる「その他の財産の全部を〇〇に相続させる」もしくは「その他の財産の全部は相続人全員に法定相続分に従って相続させる」としておくと、漏れのある財産についてその都度遺産分割協議をする必要もなく、遺言の執行がスムーズに進みます。
③祭祀(さいし)承継者を決める。
・・・墓を引き継ぎ、遺言者や祖先の法要を決めておくと、誰が墓を守るのか?などの争いを未然に防ぐことができる場合が多い。祭祀継承者にはそれらをとり行う為に必要な費用分を多く遺言で指定することも可能です。
 ④付言事項を考える。
・・・付言事項とは遺言者が家族ら相続人に言い残しておきたい事を記しておくものです。内容としては、相続人やお世話になった人々に対する感謝の思い、なぜこのような遺言を残そうとしたのかの説明、残された家族が争うことなく仲良く助け合って過ごして欲しいとの願いなどを記します。遺言書における付言事項は意外と重要で、付言事項の内容によって相続手続きがスムーズにいくことがある反面、特定の相続人への恨みなどを記してしまったが為に相続が争続になってしまうこともあります。
 ⑤遺言執行者を決める。
・・・遺言執行者とは遺言の内容を実現するための手続きを行う者であり、遺産分割のための財産目録の作成や、預貯金の管理、不動産の名義変更の手続きなど遺言を執行するために必要な権限を持っています。遺言執行者については、民法1006条、1007条、1011条、1012条に定めがあります。遺言執行者は成人であればよく相続人もなれますし、複数でもよく、銀行や弁護士・行政書士に依頼することもできます。
 ⑥証人2名を決める。
・・・公正証書遺言の作成時に遺言者の他に2名の証人が必要です。証人には未成年者、相続人、相続人の子や親、相続人の配偶者などはなれません。友人や知人などに依頼すると内容が漏れてしまうのが不安だという方は、守秘義務のある行政書士などに依頼することも可能です。

 

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